4Inch-Nelの展開について思うこと

 メーカー勤めによる妄想駄文。「4Inch-Nelロックマン最高だからぜひ買いましょう」が主題。

 ダークロックマンを入手して、二度とないくらい最高のエグゼロックマンだと確信しました。そして手に入れた人の反応を見て、あらためて出来の良さを認識した方も多いようです、が……。それでもまだ、「いつか買おう」くらいに思っている人が多い気がします。

 それでは買えない。数ヶ月後にも余裕で買えたとしたら次が出ない。「買っておけば良かった」 なんて言葉、聞きたくない。

 危機感を持って確保に動いて欲しいので、書きました。

 

 

4Incn-Nelとは

 千値練の造形と可動を4インチのサイズに詰め込んだ、新しいアクションフィギュアシリーズ。2016年2月のワンダーフェスティバル冬で発表され、ついに今夏リリースされる。

 

 

立ち上げキャラに求められること

 4Inch-Nelは初動で確かな売り上げを叩き出し、幅広い層に対してブランドを知ってもらわなければならない。そのために『真ゲッターロボ』と『ロックマン』の2シリーズ展開となった。

4インチネル 流 竜馬 ノンスケールPVC&ABS製塗装済み可動フィギュア

4インチネル 流 竜馬 ノンスケールPVC&ABS製塗装済み可動フィギュア

 

 

 何れもメジャーなタイトルではあるが、新シリーズの立ち上げに投入する版権としての価値は、方向性が全く異なる。

ゲッター1(再販) ノンスケールPVC&ABS製塗装済み可動フィギュア

ゲッター1(再販) ノンスケールPVC&ABS製塗装済み可動フィギュア

 

 

ブラックゲッター(再販) ノンスケールPVC&ABS製塗装済み可動フィギュア

ブラックゲッター(再販) ノンスケールPVC&ABS製塗装済み可動フィギュア

 

 

METAMOR-FORCE ダイノゲッター1

METAMOR-FORCE ダイノゲッター1

 

 

METAMOR-FORCE ダイノゲッター2

METAMOR-FORCE ダイノゲッター2

 

 

METAMOR-FORCE ダイノゲッター3

METAMOR-FORCE ダイノゲッター3

 

 

 既に商品展開されていてある程度千値練を知っているゲッターロボファンに対して、ロックマンファンはこれまで、truforceに協力していることまで認識していた人を除いて、千値練には縁が無かった。 千値練にとってのロックマンは、「水野エックスの経験を活かしつつ新規のユーザーを開拓できる」版権なのである。

sen-ti-nel.co.jp

 

 

本家ロックマンの実績

 斯くして新規ブランド立ち上げに起用されたロックマン(以下「本家」)だが、アクションフィギュアとしては「確かな実績がある」と言える。既にバンダイがD-Artsで展開。壽屋のプラキットも数度のリピート生産を繰り返している。

D-Arts ロックマン

D-Arts ロックマン

 

 

ROCKMAN ロックマン (1/10スケールプラスチックキット)

ROCKMAN ロックマン (1/10スケールプラスチックキット)

 

 

 3,000~4,500円、シグマまで含めれば5,500円という価格帯で、発売から時間をおいても売れる市場が確認されていることは、キャラクターを決定する上で強力な後押しになっただろう。新規造形を伴うバリエーション展開が最初から予定に組み込まれているのは、本家ブランドへの信頼感・期待感の証でもある。

 その上で「初回生産のみ」という判断になったのだから、上限も判断されているようで悔しくもあるのだが。 

 

 4Inch-Nelの発表後、バンダイはフィギュアーツZEROでの新作を発表した。

 本家の需要を再確認できて一安心。4Inch-Nelの需要を奪われないか恐々、といったところだろう。

 

 

未知のロックマンエグゼ

 一方でロックマンエグゼ(以下「エグゼ」)は、大人向けのフィギュアとしては4Inch-Nelが初の展開となる。4年間のTVアニメ放送などで知名度は高いはずだが、参考にできる売り上げ実績は無い。だから、企業としては安全策をとっておくという方向になる。

 造形は同じで、彩色だけが違う3種展開。金型への投資は抑えつつ、販売数は最大を目指すという方向性は解りやすい。最低限3種合わせて、理想としては通常版だけで本家並に売れれば、次の展開の可能性も拡がるに違いない。

 そしてこの展開方法のお陰か、ダークロックマンで確認できた成形色に頼らない全塗装が実現した。truforceのエックスとは全く異なるマットな質感は、エグゼのイメージ通りで素晴らしい。

 

 

限値練の役割

 限値練で直販される3商品は、マーケティング上で重要な役割を担っていると思われる。

 

 『ジェットロックマン&パワーロックマン』では、店頭の通常版販売数量との比較が可能だ。今後の本家シリーズが一般流通と限値練のどちらを中心に展開されるか、方向性が示されることになるだろう。

 

  『スーパーロックマン&カットマン』では、バンダイ壽屋も未だ持っていないデータが得られる。ボスキャラが売れるかどうかを(ある程度)測ることができるのだ。

 ボスキャラを販売すると考えたときに、頭部だけの新規造形で済み、スーパーロックマンと組み合わせても遊びやすいカットマンは最適なチョイスだ。売り方としても『ジェット&パワー』と比較しやすくなるのだから、奇跡的だと言っても良い。

 一方でスーパーの売り上げ次第では、ボスの展開は見送られるか、後回しになるだろう。『スーパーロックマン&カットマン』には『ジェットロックマン&パワーロックマン』と変わらぬ販売数を期待したい。

 

 『サイトスタイル』については通常版との比較に加えて、ここでも本家とエグゼの数の比較ができる。個人情報を付き合わせれば、本家とエグゼのファン層の差も判る。『サイトスタイル』の購入者数こそが、新規造形でのエグゼシリーズ展開継続を判断する指標になり得る。

 その内部判断の途中経過がうかがえるのが、並行して企画が進んでいただろう『光熱斗&アップグレードアップパーツセット』の発表だ。「原型作業を中断するよりも、金型を起こして販売した方が良い」と判断されたということ。【サイトスタイル』は最低限の受注数には達しているのだと、一旦は安心しておきたい。

 

 

フィギュアの製造工程について

 ここであらためて、フィギュアの製造工程について考えておきたい。他社の例だが、下記のサイトは参考になるだろう。

ameblo.jp

special.goodsmile.info 

ameblo.jp

千値練は、調べた限りでは中国工場のはずだ。国内で企画が進み、中国で生産して、輸入する、という流れになる。フィギュアは価格の割にパッケージが大きく、船便でなければ採算はとれないだろう。

 

 製造にかかる投資として最も重たいのは、1個数十万~数百万円のコストがかかる金型の加工だ。ということは、意識の片隅に置いて欲しい。

yuekoma.blog.jp

どれだけ原型製作が進んでいても、このハードルを乗り越えるだけの出荷見込みが立たなければ、商品化は有り得ない。同じ観点から、金型を起こしておいて出荷しないということも、企業としては避けなければならない事態だ。

 投資を回収できる見込みができたものだけが金型が起こされ、商品化される。そして金型を起こしたからにはなるべく多くの出荷をしたい、というのが全てのメーカーに共通する欲求だろう。だから、どの商品も(金型が潰れない限り)再生産の可能性はある。

 

 しかし、金型があれば再生産できるのかというと、そうではない。増産には、初回生産時よりも多くの、乗り越えるべき高いハードルがある。 

  • 工場のスケジュール・人員確保(割込みで他の商品のスケジュールに影響する)
  • 船便での輸送にかかる時間(届いたときには売り時が過ぎている)
  • 作業員の熟練による歩留まりの向上(慣れるまでの不良率は高い)
  • 資材の最小発注数量(業務用の塗料は量が多い)

 

特に『サイトスタイル』のボディパターンは単純な塗装ではなく、メタリック調のプリント。かかる手間と不良率、特注の転写シートが不足しそうになる状況など想像したくもない。もちろん不足してもいけないのだが、余っても他に使い道は無い。

  

 上記のような要素を踏まえた上で、それでも「利益が出せる」かどうか。営利企業だから判断はシビアだ。つまり、ある程度の数量が売れる“確信”がなければ、再生産など不可能。

 

 更に言えば、4Inch-Nelのロックマンシリーズについては、再生産は無いと最初から明言されてしまっている。欲しかったら、今、注文するしかないのだ。

4インチネル ロックマン エグゼ ノンスケールPVC&ABS製塗装済み可動フィギュア
 

 

4インチネル ロックマン ノンスケールPVC&ABS製塗装済み可動フィギュア

4インチネル ロックマン ノンスケールPVC&ABS製塗装済み可動フィギュア

 

 

 

審判の日

 エックスが発表されたことは、安心材料にはならない。千値練はtruforceエックスの製造を担当し、販売数もかなり高い精度で推測できる立場だ。確実に売れる商品として、エックスまでは織り込み済みだろう。発売1ヶ月前を過ぎ、出荷数量はもう変えようがない。店頭での消化率と限値練での『スーパーロックマン&カットマン』の受注数が、これから動き得るたった二つの数字だ。この数字で、今後の展開が決まると言っても過言ではない。

 熱斗に続いて、次回のワンフェスで新しい発表があるのか。注視していきたい。

 

 

 

 だが、今このタイミングで共有しておきたい事実はたった一つ、4Inch-Nelが素晴らしい完成度のフィギュアだということだ。自分のTL上の話になってしまうが、『ダークロックマン』を手にした人達の満足感は非常に高い。

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胡座もかける。

 

 ぜひこの、手のひらサイズに凝縮されたイメージ通りの造形と、そのサイズからは想像もできないほどの可動を、手にして欲しい。

 買って楽しむことこそが、直接的に売り上げに繋がり、更に次の展開を呼び込むのだから。